米大使館移設で衝突 58人死亡、2700人超負傷 ガザ
パレスチナ自治区ガザ(CNN) 米政府が在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移設したことを受けて14日、パレスチナ自治区ガザでパレスチナのデモ隊とイスラエル軍が衝突し、パレスチナ当局によると少なくとも58人が死亡した。衝突でこれほどの死者が出たのは2014年以来。
死者のほとんどは、ガザの境界付近でイスラエルに銃撃された。CNN取材班は、相次ぐ銃声が聞こえ、境界フェンスの方へ移動する戦車を見たと伝えている。イスラエルはまた、デモ隊を解散させる目的でドローンから催涙ガスをまき散らした。
パレスチナ当局は、イスラエルが大量虐殺を行っているとして、国際社会に対し即時介入を呼びかけた。パレスチナ保健当局によると、負傷者は2700人を超えている。死者の多くはまだ身元が確認されていないという。
一方、イスラエル国防軍は、ガザを支配するパレスチナの武装組織ハマスがテロ作戦を主導し、境界フェンス沿いに集まった約3万5000人の抗議デモ参加者をそそのかして、テロ攻撃を実行させたと主張している。
イスラエル国防軍によれば、パレスチナのデモ隊は境界に展開するイスラエル兵に対し、火炎瓶や火のついたタイヤを投げたり、投石したりした。さらに、エジプトとの境界に近いラファ近郊でも「極めて過激なデモ」が行われる中、武装したパレスチナ人3人による攻撃を阻止したとしている。
ガザ北部の難民キャンプで英国の慈善団体が運営する病院の医師によると、負傷者の多くはパレスチナの若者で、実弾を浴びて5~7回の手術が必要な状態にあり、60%は後遺症が残ることが予想されるという。
これに対してイスラエルのネタニヤフ首相は14日夕、「全ての国に、自国の国境を守る義務がある」とツイートした。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は同日午後、臨時会議を招集し、15日からゼネストと3日間の服喪に入ると発表。米大使館について「かつて我々は、イスラエルの違法入植に苦しめられた。今度はイスラエルと米国による違法入植が行われている」と非難している。