カンボジア総選挙 与党の勝利確実、最大野党「解党」で閉塞感も
プノンペン(CNN) カンボジアで29日、下院選(総選挙)の投票が行われ、フン・セン首相率いる与党・人民党(CPP)の勝利が確実視されている。
CPPは過去33年間にわたり政権を掌握してきた。2013年の総選挙で躍進し、約44%の票を獲得して与党に迫っていた最大野党の救国党(CNRP)は、党首が国家反逆容疑で逮捕されて解党に追い込まれた。
当局は報道機関への締め付けを強めて記者らを拘束。野党支持者らの拠点となっていた首都プノンペンの「自由広場」は「交流広場」に改名され、選挙期間中にCPP以外の大きな集会は開かれなかった。
CNRPの党員は5年間の政治活動禁止を言い渡された。今回の総選挙に参加している19党はいずれも小規模で、このうち8党は昨年以降に設立されたばかり。CPPを脅かすほどの得票は到底期待できない。
CPPの支持者らは、同党が内戦後の国を再建し、経済を発展させてきた成果を強調するが、利益を得ているのはフン・セン氏と一部の実業家、政治家だけだとの批判も強い。
市民らは、野党を支持すれば本人や家族がいやがらせを受け、有力者の場合は殺害される恐れもあると話す。
カンボジア系米国人の学者、ソーパール・イアー氏は、同国が独裁化していると主張。「トランプ米大統領が最高裁に指示して野党・民主党を解党させ、次回選挙を与党・共和党と19の小党だけで実施するようなものだ」と指摘している。