人身売買から逃れたカメルーン人女性、被害者支援に奮闘
狙われる出稼ぎ労働者
現在、人口わずか400万人のクウェートで、60万人以上の出稼ぎ家事労働者が働いている。
米国務省の2018年版「人身取引報告書(TIPレポート)」によると、クウェートに出稼ぎに来ている家事労働者は、特に、現地の一般家庭における強制労働の被害に遭いやすいという。
同報告書は、「海外からの出稼ぎ労働者の法定住所と在留資格を雇用主と結びつけるクウェートのスポンサーシップ法は、出稼ぎ労働者の移動を制限し、虐待的な職場を辞めた労働者をも罰する」と説明。さらに雇用主は違法であるにも関わらず、出稼ぎ労働者のパスポートを取り上げることがよくある、と付け加えている。
クウェート政府はこの問題の解決に取り組んでおり、家事労働者に週1日の休日、1日最大12時間の労働時間、毎月支払われる最低賃金、さらに毎年の有給休暇を保証する法律を制定した。また同政府は、雇用者の採用コストの削減と違法な人材紹介料の撲滅を目的とした国営の中央人材派遣会社も設立した。
逃れた出稼ぎ労働者たちを支援
アワさんは、母国に戻った数カ月後、人身売買の危険に対する人々の意識を高めるために、自身の体験を語り始めた。
アワさんは、出稼ぎ労働者がせっかく母国に戻っても、生活が苦しければ再び人身売買の犠牲になりかねないことを痛感した。
そこで、アワさんは「サバイバーズ・ネットワーク」という非営利団体を立ち上げた。この団体は、人身売買の被害者たちを家禽農家で一時的に雇用したり、女性たちが自分のビジネスを立ち上げられるようマイクロファイナンスの提供を行っているという。
またアワさんは、女性たちの教育を支持し、人々に人身売買の兆候の発見の仕方を教え、さらに教会、学校、地元のラジオ局、ソーシャルメディアを通じて情報発信を行っている。アワさんの団体は、これまでにクウェートやレバノンの家庭で強制労働を強いられていた500人以上のアフリカ人女性たちに帰国の仕方を助言してきたという。