香港と中国本土を結ぶ高速鉄道が開通、統治拡大に懸念も
香港(CNN) 香港と中国本土を結ぶ初の高速鉄道が開通し、23日から列車の運行が始まった。本土との結びつきが強まることは、中国政府による香港統治の一層の強化につながるのではないかと危惧する声も出ている。
香港中心部の西九竜駅には、深セン行きの始発列車に乗ろうとする報道陣や観光客、鉄道ファンなどが何時間も前から行列をつくった。
香港と中国の高速鉄道網を結ぶ路線の全長は26キロ。現時点で世界最長の中国高速鉄道は、上海と北京を結んでいる。
西九竜駅は双方の合意に基づいて、香港区画と中国区画に分割され、中国区画は中国政府の直轄となる。この制度のために、香港当局は出入境審査や待合ラウンジ、プラットホームなどがある区画を、年間およそ128ドル(米ドル換算=約1万4000円)で中国にリースしている。
この取り決めのため、西九竜駅は香港中心部にありながら一部で中国の法律が適用され、本土の警官がパトロールする。中国当局は駅構内で容疑者を逮捕したり、本土へ移送したりする権限も持つ。
実質的に中国の一部となるプラットホーム上では、乗客が写真を撮ったりしながら列車の出発を待っていた。終着駅となる深セン北駅でも、香港へ向かう観光客などが乗車口前で行列をつくった。
中国政府による駅の直接統治を定めた今回の合意は、1841年に英国が香港を支配下に置いて以来、初めての直轄統治となる。この合意は大きな論議を呼び、香港の法制や政治制度に関する自治権がさらに浸食されることへの懸念が強まっている。
22日には駅前に数十人が集まって反対集会が開かれ、野党議員のギャリー・ファン氏は「一国二制度と法の支配が傷つけられた」と訴えた。