元スパイの男性は「裏切者」、英神経剤事件でプーチン大統領
モスクワ(CNN) 英国とロシアの二重スパイだったとされるロシア人のセルゲイ・スクリパリ氏が英国で神経剤ノビチョクを使って襲撃された事件を巡り、ロシアのプーチン大統領は3日、スクリパリ氏を「裏切者」と形容し、マスコミがこの事件を人為的に誇張していると主張した。
この事件では、スクリパリ氏と娘のユリア氏が今年3月4日に英ソールズベリーでノビチョクを使って襲撃され、病院に運ばれた。プーチン大統領はモスクワ市内で開かれたフォーラムで事件に関するコメントを求められ、スクリパリ氏について「単なるスパイであり、母国に対する裏切者だ」と強調した。
マスコミの報道についても「人為的に誇張されている」と苦言を呈した上で、「いずれは過ぎ去るだろう。終わるのが早ければ早いほどいい」と言い添えた。
英政府はこの事件にロシア軍参謀本部情報総局(GRU)が関与したと発表し、ロシアとの間で外交的な亀裂が深まっている。
英捜査当局はさらに、南部エイムズベリーで6月30日に男女が神経剤に触れ、女性が死亡した事件についても、関連があると見て捜査している。
ロシア政府は一貫して、英政府の公式見解を否定してきた。
スクリパリ氏は英国のスパイとしてロシアで有罪を言い渡され、2010年に米国とロシアのスパイ交換で英国への亡命が認められた。
プーチン大統領はロシアのことわざを引き合いに、「スパイは売春と同様に、世界で最も重要な職業のひとつだ」と発言。国営RIAノーボスチ通信によると、エイムズベリーの事件については「くだらない」と一蹴し、被害者をホームレスと形容した。