「盗まれた赤ちゃんたち」の事件、医師の有罪認定も時効成立 スペイン
スペイン・マドリード(CNN) フランコ独裁政権下のスペインで、生後間もない乳児を母親から盗んだとして起訴された医師が8日、スペイン・マドリードの裁判所で有罪と認定された。ただ、時効が成立しているとして刑罰は免れた。
判決によると、産婦人科医のエドゥアルド・ベラ被告(85)は1969年、生まれたばかりだったイネス・マドリガルさんを拉致したとされる。
ベラ被告はフランコ政権時代やそれ以降に、数百人の赤ちゃんを親から盗んで子どものいない夫婦に引き渡した疑いが持たれている。
スペインでは近年になって、反体制派とみなされた家庭から赤ちゃんが奪われ、フランコ政権を支持する家庭に引き渡されたり売られたりしたとされる実態が明るみに出ていた。
こうした行為はスペイン内戦後に始まり、1990年代まで続いたと見られている。
マドリガルさんは8日の判決を不服として上訴する意向。もしマドリガルさんの訴えが認められれば、さらに数千人の「盗まれた赤ちゃん」の事件が裁判に持ち込まれる可能性もある。
時効の成立を認めた裁判所の判断についてマドリガルさんは、「スペインに国家的規模で赤ちゃんを盗んで売り渡すネットワークが存在していたことは、2010年まで知らなかった」と話し、今回の判断は受け入れられないとしている。
裁判の中でベラ被告は、子どもを養子に出したい女性たちを助けただけだと主張していた。しかしマドリガルさんの里親になった女性(2年前に死亡)は2012年にCNNの取材に対し、ベラ被告から赤ちゃんを「贈与」されたと証言した。