国連の薬物対策は「失敗」、IDPCが政策の再考を求める
(CNN) 国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)は22日までに、国連が過去10年にわたって進めてきた違法薬物に対する取り締まりは失敗しているとして政策の大幅な再考を求める報告書を発表した。IDPCは、薬物政策や薬物乱用に関連した世界177の非政府組織(NGO)のネットワーク組織。
報告書は、国連が2019年までに違法薬物の市場を撲滅するとの取り組みについて、国際的な供給に対する効果は乏しいと指摘。一方で、健康や人権、治安、開発などには悪影響を及ぼしているという。
報告書によれば、過去10年間で薬物に関連した死者は145%増加した。米国では17年だけでも7万1000人超が薬物の過剰摂取で死亡している。過去10年間、世界各地で少なくとも3940人が薬物犯罪により処刑された。フィリピンで進められている薬物取り締まりでは司法管轄外の殺人により約2万7000人が死亡した。
IDPCは、国連麻薬特別総会に対して、向こう10年の政策について異なったアプローチを検討するよう求めている。国連麻薬特別総会は19年3月にオーストリア・ウィーンで会合が行われる。
IDPCによれば、来年3月の会合でもこれまでと同様の政策が承認される可能性が高いが、それは職務怠慢であり、薬物規制の名のもとにさらに血が流れることになると警告する。
例えば、メキシコは17年、麻薬関連の暴力が拡大したことなどを受けて、殺人件数が過去最高を記録した。
IDPCの報告書によれば、暴力の拡大に加えて、薬物利用を犯罪とみなす現在の政策によって、多くの収監者が生まれているという。受刑者の5人に1人が現在、薬物犯罪によって服役しており、その多くは個人利用の薬物の所持によって起訴された。
カナダは先ごろ、主要7カ国(G7)の中で初めて、嗜好(しこう)用マリフアナを合法化している。