19歳男性、消臭スプレー吸引し死亡 医師は乱用の危険性訴え
(CNN) 19歳の男性が気分を高揚させる目的で消臭スプレーを吸引し、死亡した――。そんな症例が15日の医学誌BMJに発表された。オランダで男性の治療に当たっていた医師たちは症例をもとに、化学物質吸引の危険性を訴えている。
ロッテルダムの病院の集中治療室に勤める医師、ケルビン・ハーベイ・クランプ氏によれば、こうした症例は非常にまれ。
消臭剤の吸引による死亡例は一般には多くないため、影響があまり知られておらず、危険な行動を取り続けることにつながってしまうとクランプ氏は説明する。
男性患者は過去に精神疾患の症状を示しており、大麻やケタミンの乱用でリハビリ施設に入所していた。抗精神病薬も服用していたとされる。
7月に再発した際は、頭にタオルを巻き、気分を高揚させる目的で消臭スプレーを吸引。活動過多になって飛び跳ねていたところ、突然血流が止まり、心停止を起こして倒れ込んだ。入院して昏睡(こんすい)状態のまま処置を受けていたが、意識を取り戻させることはできなかった。
入院から9日後、医師たちはケアをやめ、男性は死亡した。
症例報告では、吸引剤などの乱用は新しい現象ではないと指摘。クランプ氏によれば、精神的に不安定な若者の間で主に見られるという。
最も乱用に走りやすい年齢層は15~19歳とされる。リハビリ施設の入所者の場合、家庭製品に手を出すケースが多くなり、こうした環境で心停止のリスクが増大する場合もある。
症例報告の執筆陣は、学校教育を通じた啓発により、吸引剤関連の死亡事故の減少につなげたい考え。「乱用を止めるために唯一できるのは、吸引剤が重大な結果を招く可能性に関し、若者や親および医療関係者の意識向上を促すことだけだ」とクランプ氏は話している。