メキシコ麻薬組織の大物頭領が「前大統領に賄賂1億ドル」 元側近が証言
(CNN) 米国で国際麻薬密輸などの罪で起訴され公判中のメキシコの麻薬密売組織の大物頭領が同国のペニャニエト前大統領に1億ドル(約109億円)の賄賂を支払っていた疑いが17日までに浮上した。
麻薬犯罪組織「シナロア・カルテル」の頭領のホアキン・グスマン被告(61)の元最側近の弁護士が、米ニューヨークの連邦裁判所での審理で証言した。被告は2017年に米国へ移送された。無罪を主張しているが、有罪が確定すれば終身刑判決となる可能性がある。
一方、ペニャニエト前大統領の元首席補佐官はツイッター上で馬鹿げた主張などと証言を否定。ペニャニエト前政権が同被告の隠れ場所を特定して逮捕し、米国に移送した事実を強調した。
シナロア・カルテルを巡っては政界、警察や軍に浸透した汚職網に関する証言が出ていたが、前大統領の名前まで飛び出す異例の事態となった。
弁護士は審理で、被告の秘書役も務めていた元最側近が米当局から受けた事情聴取の内容に言及。賄賂はペニャニエト氏が次期大統領の立場にあった2012年10月に支払われたとした。同氏の在任期間は12~18年だった。
元最側近は17年11月に米当局者に対して行った声明の中で、前大統領がグスマン被告に接触し、金を払うなら「隠れる必要はない」と述べたと説明。この話は被告自身から聞いたとし、賄賂は被告の「商売継続」が狙いだったとも指摘した。
ただ、元最側近は米当局の聴取を3回受けたが、最後には賄賂の正確な額についての混乱も認めていた。
元側近も2013年にメキシコで逮捕され、米国に移送された。麻薬密輸で罪を認め、米政府の関連捜査に協力していた。