最重要の年を迎えた習近平主席<下> 中国は再び困難に直面か
(CNN) 中国政府は、急増する全国の債務水準を抑える取り組みを行っているが、それによりインフラ・投資支出が落ち込み、国内総生産(GDP)の伸びも減速している。
習近平(シーチンピン)国家主席は今年、国内でさまざまな問題や困難に直面しているが、習氏に最も重くのしかかるのは外的要因だろう。
米国は中国政府に対し、経済から政治、軍事面まで、さまざまな分野で反発を強めている。トランプ大統領は昨年、中国政府に産業研究開発への巨額の財政支援を打ち切るよう要求する一方、数千億ドル相当の中国製品に対する関税を徐々に引き上げた。
米中貿易戦争は、トランプ、習両氏の直接交渉の結果、今年の3月1日まで「休戦」となっているが、習氏にとってはストレスを抱えての1年の幕開けとなり、米国をなだめつつ、譲歩もしすぎないという難しいかじ取りを迫られている。
仮に米中貿易戦争が終結しても、それで終わりではない。中国政府と対立するトランプ政権は、貿易問題以外にも南シナ海で増す中国の存在感や中国の経済スパイ行為に対する反発など、新たな問題を持ち出している。
習氏は、手詰まり状態のトランプ氏との貿易戦争の早期解決を期待していないことをにおわせるいくつかの発言をしている。例えば、昨年12月18日に人民大会堂で行った演説の中で、習氏は国民に米国との論争の長期化を覚悟させるために、過去に「苦難」を通じて、どれだけ偉大な功績が達成されてきたかを強調しているように見えた。
改革開放40周年を祝う大会に参加した習近平主席=2018年/WANG ZHAO/AFP/Getty Images
米紙ニューヨーク・タイムズに漏れた中国と欧州連合(EU)との首脳会談の内容を詳述した公電によると、習氏は「中国は(西側諸国から)経済制裁を受けた際、貧困や苦難を経験した。中国の国民は再び苦難を味わうことになるかもしれない」と述べたという。
怪しい雲行き
国家主席の任期制限の撤廃は習氏の勝利だが、自身をピラミッドの頂点にあまりに明確に置きすぎることにより、習氏は事態が悪化した場合に批判の矢面に立たされる状況に自らを追いやった、と専門家らは指摘する。
年が明け、習氏は自身にかかるプレッシャーが高まる中、和解、愛国心、プロマーケット改革、政府の規制の微妙なバランスを取らなくてはならない。
習氏が迫り来る苦難の中で中国をうまく先導できなければ、習氏が抱く長期政権の夢は頓挫してしまう、とオックスフォード大学中国センターの主任を務めるラナ・ミッター氏は指摘する。
「(国家主席を)2期以上務めることが可能になったからといって、2期以上の任期が保証されるわけではない」(ミッター氏)
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