シンガポール、F35機調達の計画発表 中国を刺激か
香港(CNN) シンガポールのウン・エンヘン国防相は7日までに、米国製の次世代戦闘機「F35」を最多で12機調達する計画を明らかにした。同国国会での演説で表明した。
同機の輸出には米連邦議会の承認が必要。エンヘン国防相はトランプ米政権や米国防総省はシンガポールへの同機売却に前向きな姿勢を示していると述べた。
同国がF35導入を果たした場合、領有権論争がくすぶる南シナ海周辺の米国の同盟国では日本、オーストラリアや韓国に次いで4カ国目となる。ただ、南シナ海の軍事拠点化を進める中国を刺激する可能性が強い。
エンヘン国防相はF35購入に触れた際、中国の国名には触れなかった。国防相はまた、国防力強化を図るため2030年までに配備する数十点に及ぶ軍事装備品に言及。敵レーダー網を回避するステルス性能を持つF35はこのリストの中でも最重要と位置付けられている。
米インド太平軍司令部の元作戦担当幹部はシンガポールによる同機購入は中国の地域的な支配確立への懸念の高まりを示唆していると説明。シンガポールは南シナ海での権利主張に軍事的な意図はないなどとする中国の主張を信用してはいないと指摘した。シンガポールは南シナ海の西方に位置する。
米国は中国が南シナ海で環礁を人工島化し、滑走路建設やレーダー配置、航空機派遣などを積み重ねる動きに反発。これら拠点周辺に艦船や航空機を随時派遣し、中国が唱える主権確立を否定している。
米軍は日本の基地にもF35を配備。同機は南シナ海などに出動する海軍艦船にも搭載可能となっている。英国もF35を積んだ空母を南シナ海周辺に来年派遣する考えを示している。