「EU離脱で虚偽の主張」、ジョンソン前外相に出廷命令 英国
ロンドン(CNN) 英国のボリス・ジョンソン前外相が、欧州連合(EU)離脱の是非を問う2016年の国民投票で国民にうそをついたとして、治安裁判所に出廷を命じられた。ジョンソン氏は、辞任を表明したメイ首相の後継候補として最有力視されている。
ジョンソン氏は当時、EU離脱を訴える陣営の先頭に立ち、英国は加盟国として週に3億5000万ポンドをEUに拠出していると主張、バスの車体に「我々は毎週3億5000万ポンドをEUに支払っている」と描いて走らせていた。
しかしこの主張が虚偽であり、公職者の不法行為に当たるとして、ウェストミンスター治安裁判所が出廷を命じた。
国民投票では52%がEU離脱に賛成票を投じた。
2016年に英国会議事堂前を通るバス。EU離脱を訴え「我々は毎週3億5000万ポンドをEUに支払っている」と描かれていた/Jack Taylor/Getty Images Europe/Getty Images
ジョンソン前外相を告発したマーカス・ボール氏は、前外相が国民投票の前後や2017年の総選挙でも、3億5000万ポンド拠出の主張を繰り返したと指摘。「ジョンソン氏はそうした発言が虚偽あるいはミスリードになることを知っていた」と述べている。
告発の資金はクラウドファンディングを通じて集められた。
これに対してジョンソン外相側は、告発は国民投票の結果を覆すことを目的とした団体の「政治的宣伝行為」だと反論。出廷を命じられるような法的根拠はないと主張し、「英司法史上初めて、政治的論争の内容や質を規制する目的で刑法が利用された」と訴えている。
英国の政界は、EU離脱交渉やメイ首相の辞意表明で大混乱に陥っており、来月メイ首相の後継者を選ぶ与党保守党の党首選ではジョンソン氏が候補者のトップに立っている。