メイ首相、EU離脱で新たな法案 2度目の国民投票に道開く
(CNN) メイ英首相は21日、欧州連合(EU)からの離脱に関連する新たな法案を採決にかけると表明した。この法案には、2度目の国民投票を議会に問う項目も含まれている。
メイ氏はこれまで、2度目の国民投票には否定的な立場を示してきた。しかし同氏がロンドンでの演説で説明したところによると、新たな法案には再度の国民投票に道を開く項目が盛り込まれた。さらに労働者の権利や環境関連の条項、EUと一時的に関税同盟を結ぶ案など計10項目がセットになっている。
ただし法案の核となるEUとの離脱協定案は、これまで議会で3回否決された内容からほとんど変わっていない。
メイ氏は演説で「議会がこの法案を否決するなら、それは離脱自体をやめようと言っていることになる」と強調した。さらに、ここで合意できなければ「永遠の政治対立という悪夢のような未来」が待っていると警告。「全政党の全議員に確信を持って言いたい。私は妥協した。皆さんも妥協してほしい」と呼び掛けた。
しかし演説の直後から、各方面で早くも反発の声が相次いだ。与党・保守党内の強硬離脱派からは、新たな法案はこれまでの案よりさらに出来が悪く、英国を引き続きEUに縛り付けることになると批判する声が上がった。
2度目の国民投票を主張する野党・労働党の議員も、法案を「ごちゃ混ぜの提案」と切り捨てた。
新たな法案では離脱協定案のうち、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境に物理的な管理施設を設けないことを保証する「バックストップ」条項について、政府が2020年末までに代替案を出すよう義務付けている。メイ政権に閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)が同条項に強く反対しているためだが、DUPは「離脱協定の根本的な問題点に変わりはない」との立場を示す。
メイ氏はこの法案を、6月第1週に下院で採決にかける構えだ。同氏への辞任圧力が高まるなかで、これが最後のチャンスとなる可能性が高い。
ちょうど同じ時期にトランプ米大統領が国賓として訪英する予定。これに先立つ欧州議会選挙では、保守党の惨敗が避けられない情勢となっている。