メイ英首相、6月30日まで離脱再延期を要請 EUから異論
ブリュッセル(CNN) メイ英首相は5日、欧州連合(EU)のトゥスク大統領に書簡を送り、英国の離脱を6月30日まで再延期するよう要請した。ただ、欧州側の反応は冷ややかで、離脱期間をめぐり異論が相次いでいる。
EUは英国が前回延期を要請した際、6月30日の期日を却下していた。メイ氏はこの期日を設定した理由について、英国内の政治的膠着(こうちゃく)を打開する時間をより多く確保するためとしている。
しかし、来週の緊急首脳会議を前にブリュッセルで協議中のEU大使からは、英国側の説明を疑問視する声が噴出。また、延期が承認された場合、5月の欧州議会選に不確実性が生じかねないとの懸念も出ている。
外交筋の1人によると、協議では書簡への回答として2つの選択肢が議論に上った。
英国の要求に対し強硬姿勢を取るフランスは、2週間のみの延長を提示することを提案。「合意なき離脱」に備える金融市場の時間を確保する狙いがある。
もう1つの選択肢はドイツが提案したもので、メイ氏にさらなる説明を要求する内容。それを基に、より長期の延期を提示したい考えだ。
英提案の6月30日という期日に対しては、支持する声がなかったとみられる。
トゥスクEU大統領は1年延期の考えを示している。英国が離脱協定を批准した場合はこの期間が短縮される「フレクステンション」(「柔軟な」を意味するフレキシブルと「延長」を意味するエクステンションを組み合わせた造語)と呼ばれる案で、英国が膠着打開への明確な道筋を示した場合にのみ提示の可能性が出てくるという。
別の情報筋はCNNに対し、最終決定は下されておらず、10日のEU首脳会議の前にさらなる協議を行うとしている。現行の離脱期日は12日。
英政権側の申し入れで始まった野党労働党との協議は、5日の時点で大きな進展はなかった。労働党のコービン党首は「(離脱案について)政府から実質的な変更や妥協の提案がないことに失望している」と発言した。
一方、首相府は協議の中で「重大な提案」を行っており、今週末にさらに議論を深めると述べた。