英議会、EU離脱案を3度目の否決 メイ首相案に致命的な打撃
ロンドン(CNN) 英議会は29日、メイ首相がまとめた欧州連合(EU)離脱案の3度目の採決を行い、賛成286、反対344で否決した。離脱案承認の望みは絶たれた可能性が高く、英政治は一段と不確実な情勢に陥っている。
当初の予定では、英国はこの日にEUから離脱することになっていた。メイ氏の案が否決されたことで、離脱を長期延長するか、新たな期日の4月12日に「合意なき離脱」に突入する公算が大きくなった。
メイ氏は議会が離脱案を可決すれば辞任すると表明していたが、十分な支持を取り付けるには至らなかった。議会は過去2回の採決で離脱案を大差で否決していた。
来月1日には代替案の2度目の採決を行う予定で、窮地打開の鍵を握るのは議会になるかもしれない。
代替案については8案が今週下院で採決にかけられたが、いずれも過半数の支持は獲得できなかった。議会は現在、代替案の修正を急いでおり、可決の可能性を高めることができるか探っている。
メイ氏は採決後の声明で、否決の意味合いは「重大」だとし、「われわれは下院での手続きの限界に達しつつある」と言及。総選挙実施を視野に入れている可能性を示唆した。
採決の結果を受け、EUのトゥスク大統領は来月10日に緊急首脳会議を開くと表明。欧州委員会の報道官はCNNの取材に、否決を遺憾に思うとしたうえで、「4月12日深夜に『合意なき離脱』を迎えるシナリオに備え、万全の態勢を整えた」と述べた。
英国ではメイ首相の辞任を求める声が引き続き高まっている。野党・労働党のコービン党首は、メイ氏は辞任して総選挙を実施する必要があると改めて強調した。