同じホテル滞在の米国人3人が相次ぎ死亡、昨年もカップルが体調急変 ドミニカ共和国
ドミニカ共和国のフランシスコ・ガルシア観光相は6日の記者会見で3人の死について、「個別の事案であり、ドミニカ共和国は安全な観光地」だと強調した。
クナルさんとシュワンダーさんは昨年、13日間の予定でドミニカ共和国に滞在していたが、6日目の朝になって、クナルさんはひどい頭痛で目が覚めたという。朝食を終えて部屋に戻ると、「壁にペンキを塗ったような薬品臭が充満していた」。
フロントに電話をかけてもなかなか反応はなく、ようやくやって来たベルボーイとマネジャーは、「空気清浄機」だとする装置を持ち込んだ。それは室内用のヒーター程度の大きさだったという。
部屋をアップグレードしてもらい、その晩は別の部屋に宿泊したが、クナルさんの具合は悪くなる一方で、シュワンダーさんも体調を崩した。2人とも強い腹痛や下痢に見舞われて大量の汗をかき、クナルさんは血便、シュワンダーさんは涙や唾液が止まらない症状もあった。
クナルさんは数日前に見た光景を思い出していた。2人が滞在している部屋の前で、メンテナンス係がエアコンの装置を覆うヤシの木に何かを散布している光景だった。
症状は悪くなる一方だった。結局2人は休暇を途中で切り上げ、追加で600ドルを負担して米国へ帰国した。
クナルさんを診察したかかりつけの医師は、有機リン酸エステルが原因だった可能性があると診断した。有機リン酸エステルはアリやゴキブリなどの殺虫剤に使われる薬品で、皮膚や呼吸、飲食を通じて吸収すると、唾液や涙が増え、下痢や吐き気、発汗、混乱などの症状を引き起こす。エモリー大学の専門家によれば、呼吸器系の問題や呼吸器不全を引き起こすこともあるという。
クナルさんは死亡した3人に思いを寄せ、裁判に勝つこと以上に、何が原因だったのかを知りたいと訴えている。