英領ジブラルタル、イランのタンカー拿捕 シリアに原油輸送か
(CNN) 英領ジブラルタル自治政府当局は4日午前、シリアに原油を輸送していたとみられるイランのタンカーを拿捕(だほ)した。原油輸送が欧州連合(EU)の対シリア制裁違反に当たるとしている。
自治政府のピカルド首相の声明によると、ジブラルタル港湾当局と法執行当局は英海兵隊の支援を受け、スーパータンカー「グレース1」を拿捕した。
スペインのボレル外相代行は、米国から英国に対して拿捕の要請があったと説明。グレース1について「シリアのバニヤス製油所に原油を運んでいたと考える理由がある」と指摘した。
この製油所はEUの対シリア制裁の対象となっている組織の所有物だという。EUは2011年、シリアのアサド政権による自国民弾圧が続いていることを理由に、金融、通商、輸送分野の制裁を科していた。
一方、イラン外務省のムサビ報道官はツイッターで、「違法」なタンカー拿捕をめぐり駐テヘラン英大使を呼び出したと明らかにした。さらにイラン国営プレスTVはムサビ氏の話として、英国による「破壊的」な拿捕はペルシャ湾の緊張を増幅させかねないと伝えた。
中東では米国とイランの緊張が高まっており、イランは今週、2015年核合意の一部について順守停止を発表していた。
グレース1は現在、ジブラルタル沖に係留されている。海運専門紙ロイズリストに今週掲載された記事によると、4月中旬にイラン産原油を積み込み、探知を逃れるため追跡用の信号を切ったうえで、アフリカ南部の喜望峰を経由してジブラルタル海峡に向かっていたという。