香港民主派歌手の演説、中国代表団が遮る動議 国連人権理事会
香港(CNN) スイスのジュネーブで開かれた国連人権理事会で8日、香港の民主化運動を支援する歌手の何韻詩(デニス・ホー)さんの演説が、中国の外交団によって繰り返し中断された。
ホーさんは演説の中で、香港の大規模デモに対する中国の対応について「あらゆる代償を払って我々の民主主義を阻止している」と述べ、1997年に香港が返還された際の約束を中国は守っていないと訴えた。
これに対して中国の代表団は、手順に従って2回の動議を申し立て、ホーさんの演説を遮った。1回目は、ホーさんが香港を中国の一部ではなく国と形容したことが国連憲章違反に当たると指摘、「国連のルールに沿った文言」を使うよう求めた。
2回目の動議では、ホーさんが「根拠なく」香港統治の「一国二制度」を攻撃したとして非難した。
ホーさんは国連に対し、香港住民を守り、中国を国連人権理事会から排除するため、緊急会合を開くよう訴えて演説を締めくくった。
香港では、刑事事件の容疑者を中国本土へ引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡って大規模な抗議デモが続いている。
ホーさんは演説後、スイスのテレビ局のインタビューに応じ、「香港の人たちは、自分たちの声に耳を傾けない香港政府にうんざりしている」と指摘。「逃亡犯条例は、過去10~15年の間に募っていたあらゆる苛立ちに火を付けたにすぎない。私たちは、全ての自由や人権が香港政府によって侵害されるのを目の当たりにしてきた。当然ながら、その背後には中国政府がいる」と語気を強めた。