デモ隊罵倒の男性、体に火をつけられ重体 香港
香港(CNN) 反政府デモが激化する香港で11日、デモ隊に罵声(ばせい)を浴びせた男性が体に火を付けられて重体に陥った。
ソーシャルメディア上で拡散した動画には、武器を持たない正体不明の男性がデモ参加者らに侮辱的な言葉を投げ付け、「中国人ではない」と非難する様子が映っている。
男性は引火性の液体を浴びせられ、火を付けられた。病院へ運ばれたが重体とされる。
香港警察の情報筋によると、現場は香港郊外の新界地区にある馬鞍山の地下鉄駅。警察が状況などを詳しく調べているという。
香港では11日、デモ隊がゼネストを呼び掛け、複数の場所で警官隊と衝突。負傷者は計60人に上った。
香港島東部の西湾河では同日朝、21歳のデモ参加者が実弾で撃たれ、一時重体となった。午後には警察が、男性の命に差し迫った危険はないと発表した。警察の報道担当責任者によると、警官は相手が銃を奪おうとしていると思い、身の危険を感じて発砲したとされる。
香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同日夜の記者会見で、香港が暴動激化により「後戻りできない限界」に達しようとしているとの見方を示した。一方で「デモ隊が暴力行為をエスカレートさせることで、『要求』と称する圧力に香港政府が屈するという希望的観測があるとしたら、そんなことは起きないと明言しておく」と述べた。
警察の発表によると、デモ隊はこの日、120カ所以上の道路で破壊行為や通行妨害に及んだ。報道担当責任者も記者会見で、「この大暴れを続けても全員が敗者になるばかりだ」と呼び掛けた。