仏大統領、エルサレムでイスラエルの治安要員と口論 教会立ち入り巡り怒声も
エルサレム(CNN) 中東エルサレムの旧市街でこのほど、現地を訪問中のマクロン仏大統領がイスラエルの治安要員と口論を繰り広げる一幕があった。フランス政府の管轄とされる教会の中にこの治安要員らが立ち入ろうとしたためとみられており、規定を守るよう厳しい口調で相手に通告するマクロン氏の様子が動画に記録されている。
マクロン氏は23日に開かれるホロコースト犠牲者への追悼行事に出席するため、エルサレムを訪れている。上記の口論は、フランス政府が管轄し、フランス領とみなされている旧市街の聖アンヌ教会で起こった。
動画では、自身の後に続いて教会内に入ろうとしたとみられるイスラエルの治安要員に対し、マクロン氏が叫ぶような口調で「誰もが規定を知っている。あなたのしたことは気に入らない。出ていきなさい」と告げる様子が映っている。
マクロン氏はさらに、「規定を尊重してください。何世紀にもわたって存在する規定を私が変えるわけにはいかない。それははっきり言っておく」と付け加えた。
ローマカトリックに属する聖アンヌ教会の起源は12世紀にさかのぼる。教会は1856年、オスマン帝国の皇帝によってフランスのナポレオン3世に寄贈された。
仏大統領府の報道官はCNNに対し、マクロン氏の言動はフランスとイスラエルの治安要員による口論に介入したうえでのものだったと説明。「聖アンヌ教会はフランスに帰属する。エルサレム市内にあるこれらの土地の保全もフランスが担う。現場ではイスラエルの治安要員が教会内に立ち入ろうとしたが、警備はフランスの要員が行っていた。大統領は両国の治安要員による口論の間に立ち、その場を収めたうえで全員に改めて規定を周知しようとした」と述べた。
一方、イスラエルの当局者は声明で、同国とフランスの治安要員とのやり取りは「話し合い」だったとの見解を示した。イスラエルの治安要員と警察官がマクロン氏並びにフランスの代表者を護衛することは事前に合意されていたとし、マクロン氏からは教会訪問を終えた後で謝罪があったと述べた。
マクロン氏に同行する報道官は同氏の謝罪の有無を確認することを控え、「そのような場面は見ていない」と述べた。
フランスは旧市街のある東エルサレムに対するイスラエルの主権を認めておらず、イスラエルによる占領地とみなしている。国際社会の多くはこの認識を共有しているが、イスラエルはこれに異議を唱え、エルサレム全域が自国の主権下にあるとの立場をとっている。