新型ウイルス、潜伏期間中の感染例は「誤り」 独当局
(CNN) 新型コロナウイルスによる感染症をめぐり、ドイツの衛生当局者らは4日、同国を訪れた潜伏期間中の中国人患者から感染が広がったとの報告に誤りがあったことを明らかにした。
この患者は上海在住の女性で、先月ドイツのバイエルン州に出張して現地の同僚らと接触し、帰りの機内で発症したとされていた。
その後、同じ会社で女性と直接接触した2人を含むドイツ人4人のコロナウイルス感染が確認された。症状が出る前の患者からうつった例として、独チームが先週、米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に報告していた。
しかし独当局者らはCNNへのメールで、この報告が間違いだったと指摘。バイエルン州衛生当局と独ロベルト・コッホ研究所が中国語で本人に聞き取り調査をした結果、滞独中から背中の痛みなど軽い症状が出ていたとみられ、解熱剤を飲んでいたことが分かったという。
研究チームのメンバーによると、NEJMの論文はドイツ人患者への聞き取り調査のみに基づく報告だった。
中国当局はこれまでに、コロナウイルスは無症状の患者からもうつる可能性があるとの立場を示していた。米疾病対策センターなども独チームの報告を引用し、無症状の段階でも感染はあり得ると述べていた。
一方、スウェーデンの公共保健当局はウェブサイト上で、潜伏期間でも感染するとの情報は誤りだったことが分かったと説明。「潜伏期間中の感染はあり得ない」と断言している。
世界保健機関(WHO)は先週末、「少数のケースで無症状の患者から感染した可能性もあることは認識しているが、これはまれな例で、感染拡大の主な原因ではないかもしれない」との見解を示していた。