受刑者5万4000人、新型コロナ対応で一時釈放 イラン
テヘラン(CNN) 新型コロナウイルスの感染が拡大するイランで、感染拡大の封じ込めの一環として受刑者5万4000人を一時釈放する方針であることが5日までにわかった。
半国営通信ISNAが当局者の話として伝えたところによると、保健省が受刑者の釈放の監督を行う。釈放後にどこに滞在し、またどのように所在を追跡できるようにするのか詳しい説明はなかった。
同当局者は「凶悪犯罪の受刑者か否かを問わず、受刑者の健康状態は我々にとって極めて重要な問題だ」と語った。
テヘラン郊外のエビン刑務所では、所内で新型コロナウイルスの感染が拡大しているとの情報がある。
同刑務所には英国系イラン人の女性がスパイ容疑で収監されており、英外務省は在イラン大使と連絡を取り、イラン政府に対し状況の説明を求めているとの声明を出した。
同省はまた、女性の置かれている状況を評価するために、早急にエビン刑務所に専門家の立ち入りを認めるようにイラン側に要請しているとも明らかにした。
この女性の家族によると、女性はエビン刑務所内で自身がコロナウイルスに感染したと感じているという。
同国ではコロナウイルスの感染者数が2922人、死者数は92人に達した。同国中部にはイラクやアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンなどから大勢の人々が訪れる宗教都市ゴムがあり、同地に関連した症例の報告も周辺諸国から上がってきている。
対応に迫られるイラン保健省は3日、30万人の医療従事者や専門家を医療システムに投入すると発表。ただ、医療設備が十分整っておらず、また経済制裁による医薬品や医療機器の価格高騰が続く状況で、感染拡大に効果的に対応できるかに懸念の声が上がっている。