コロナ対策でビーチに漂白剤散布、当局が謝罪 スペイン
(CNN) スペイン南部の地元当局が新型コロナウイルス感染拡大への対策として浜辺に漂白剤を散布したところ、環境保護団体などから厳しい批判の声が上がり、謝罪する出来事があった。
現場は同国アンダルシア地方の村にある砂浜。4月初めに当局が複数のトラクターを使って漂白剤を散布した。ウイルスの消毒を意図したものだったとみられるが、生態系を破壊する行為だとして猛烈な批判が巻き起こった。
地元の環境団体に所属するマリア・ドローレス・イグレシアスベニテス氏は、漂白剤が砂浜に生息する虫や貝類、甲殻類を死なせてしまうと指摘。トラクターが走行したことで鳥の巣が壊された可能性もあると述べた。
国際環境保護団体グリーンピースも、鳥たちが巣を作るシーズンの真っ只中に漂白剤を散布したことについてツイッターで懸念を表明した。
イグレシアスベニテス氏によると、今年は砂浜一帯で17~20羽のシロチドリが巣を作っていたとみられる。
同氏は漂白剤でウイルスを除去する考えについて「全くばかげている」と非難。砂は海水や雨で洗浄されることに加え、スペイン全土の厳しい封鎖措置により一帯にはこの数週間だれも立ち入っていなかった。
地元の当局者はメディアの取材に答え、漂白剤の散布が間違いだったことを認めた。実施に当たっては砂浜を人々にとって安全な状態にする意図があったとし、封鎖措置の解除に備える取り組みだったと説明した。
パンデミック(世界的な大流行)が猛威を振るったスペインでは3月14日以降自宅待機が命じられているが、今月4日から住民は種々の活動を再開できるようになる予定。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によればスペインの新型コロナウイルスの感染者数は世界で2番目に多く、これまで2万4200人以上が死亡している。