北欧3カ国で平常上回る放射線量を検出、ロシアは原発事故の可能性否定
モスクワ(CNN) 北欧のノルウェー、スウェーデン、フィンランド上空で6月前半にかけ、通常を上回る濃度の放射性物質が検出された。これについてロシアは、同国の原子力発電所で放射能漏れは起きていないと強調している。
オランダ国立公衆衛生環境研究所は28日、ノルウェーなど3カ国の上空で、「非常に低い」レベルの人工放射線が観測されたと発表した。環境や人の健康に影響を及ぼす恐れはないとしている。
同研究所は「原子力発電所の燃料関係の異常と考えれば、この放射性物質の組み合わせは説明がつくかもしれない」と述べ、「計算の結果、この放射性物質はロシア西部の方角から来ていることが分かった」と指摘した。ただし、データが不足していることから発生国や発生源は現時点で特定できないとしている。
これに対してロシアは、同国西部にあるレニングラード原発とコラ原発はいずれも事故などの記録はなく、平常通りに稼働していると説明した。
コラ原発のエンジン室の内部。ロシアの原発企業は、同発電所で事故は起きていないとしている/Lev Fedoseyev/TASS/Getty Images
ペスコフ大統領報道官も29日、原発事故の可能性を否定し、「オランダの専門家の報告については、どこが発生源なのか我々には分からない」とコメントしている。
フィンランドの放射線・原子力安全当局は29日、「検出された放射性物質の発生源がフィンランド国内だったとは考えられない」と発表した。
スウェーデン放射線安全当局によれば、「非常に低レベル」のセシウム134、137、ルテニウム103、コバルト60が、6月8~15日にかけてビスビーで、22~23日にかけてはストックホルムで見つかった。
ノルウェー放射線・原子力安全当局は、約2週間前の測定で、非常に低いレベルの放射性物質を観測したと伝え、今週中に再度の測定を行うとしている。