大英博物館、創設者の胸像を移設 奴隷への関与を確認
(CNN) 英ロンドンの大英博物館が、創設者ハンス・スローンの胸像を展示台から撤去した。スローンが奴隷にかかわっていたことを認めた措置で、胸像は別の陳列棚に移され、植民地活動を反映した展示品や説明を添えて陳列されている。
大英博物館は、スローンが保有していた膨大な数の収集品をもとに1753年に設立され、1759年に開館した。
アイルランド出身で医師だったスローンは、世界中から集めたコレクションの収集家だった。アン女王や、国王ジョージ1世、ジョージ2世の主治医でもあった。
アイルランド出身で医師だったスローンは世界中からコレクションを集める収集家だった/Ann Ronan Pictures/Hulton Archive/Print Collector/Getty Images
収集活動は1687年、当時イングランドの植民地だったジャマイカへの航海から始まった。スローンは同地で奴隷プランテーションや総督の医師として働きながら、植物や動物の標本を収集していた。
その後、奴隷を働かせていたジャマイカの砂糖プランテーションの跡継ぎとなる女性と結婚。ここから得た収入の相当額を、コレクションの収集に注ぎ込んでいた。
英ロンドンの大英博物館/Rick Findler/PA/AP
大英博物館のハートウィグ・フィッシャー館長は、創設当時の収集品は奴隷労働や奴隷経済によって一部がまかなわれていたことを認め、胸像の展示場所を変更したと説明。「今後も引き続き歴史の探求を続け、世界中の人たちと協力して、複雑で、時として苦痛に満ちた歴史を対等なものとして書き換える」としている。
人種差別に抗議する「ブラック ・ライブズ・マター(BLM)」運動をきっかけに、歴史上の人物について再考する動きは世界中に広がり、クリストファー・コロンブスなどの銅像が各地で撤去されている。