EU、越境入院者の搬送費に268億円拠出 医療崩壊阻止へ
(CNN) 欧州連合(EU)は11月1日までに、新型コロナウイルスに対応する域内の医療態勢の崩壊を阻むため越境して入院する感染者の搬送費用を負担する2億2000万ユーロ(約268億円)を拠出すると発表した。
欧州は現在、新型コロナの第2波の感染再拡大に直面し、複数の国では全土規模の封鎖措置を再度強いられている。複数のEU加盟国の公衆衛生当局者は病院の収容能力は限界に近づいており、医療崩壊を防ぐには隣国らとの一層の協力態勢が必要とも訴えている。
欧州では第2波の到来も受け、感染者は1000万人を超えている。
EUの行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長はEU指導者との会合後、「我々が緊急に行動しなければ新型コロナウイルスの拡散は保健衛生態勢を圧倒するだろう」との危機感を表明した。
委員長はこの会合で、域内の新型コロナ予防策の能率化や一本化を図る多数の措置を提示した。検査、感染者の追跡アプリやワクチンの配給などに関する措置となっている。
ワクチン配給に関しては各加盟国は公平な分配を進めることで合意したと説明。「加盟国はEU域内の総人口における人口の比率に応じ、同時にかつ同じ条件でワクチンを受け取るだろう」と述べた。
予防策の一本化を図る努力は欧州が新型コロナの感染拡大の第1波を受けた際、域内の貧弱な協力態勢が批判を招いたことを教訓にしている。第1波で大きな被害が出たイタリアなどがEU指導部に支援を要請したが、最後には中国に医療器具の提供を頼る経緯もあった。