英国が「新たな章」に入る EU離脱の移行期間終了
ロンドン(CNN) 英国はブリュッセル時間1月1日午前0時(ロンドン時間12月31日午後11時)、欧州連合(EU)離脱の移行期間を終えた。昨年1月にEUを正式離脱してから約1年後、ついにEUとの一体的な関係が断たれた形となった。
英国では4年半前の国民投票で過半数が離脱賛成票を投じた。移行期間の終了は英国の歴史において重要な節目となる。EUの一員として歩んだ50年近くの時を経て、今後は別の道を行くことになる。
ジョンソン首相は12月31日の演説で、英国は「開かれ、寛大で、外向きで、国際主義的で、自由に貿易を行う」国になると指摘。「今後は(EUとは)異なるやり方で物事を進めることが可能になる。必要ならEUよりも優れたやり方を取る」と表明した。
EUとの貿易協定にジョンソン首相が署名した文書が英首相官邸で公開された=30日/Leon Neal/Pool/AFP/Getty Images
さらに「我々は自由を手中に収めている。それを最大限に活用するかどうかは我々次第だ」と述べた。
EU離脱のプロセスは痛みを伴う長いものになった。英国とEUは年末に離脱後の貿易協定で合意し、英議会も12月31日に協定を可決したものの、先行きには依然不透明感が漂う。
ジョンソン氏は31日の議会審議を始める際、同協定について「新たな章の幕開け」につながると述べ、英国は「自国の法律と運命」を取り戻すことが可能になるとの認識を示していた。
ただ、英国内が新型コロナウイルスの影響で混乱する中、今後の変化への備えができていない企業も目立ち、批判派からは英経済は離脱により打撃を被るだろうと警鐘を鳴らす声も出ている。
EUの旗を持って歩く男性=12月11日、ロンドン中心部ホワイトホール/Hollie Adams/AFP/Getty Images
スコットランドでは、スタージョン首相が移行期間終了と同時にツイッターに、スコットランドは「欧州にすぐに戻る」と投稿。国民投票で多数がEU残留を支持した同地域にとって、EU離脱は独立への新たな機運を高める動きにつながっている。
EUとの貿易協定でカバーされていなかったイベリア半島南端にある英国の海外領土ジブラルタルについては、英国とスペインが移行期間終了の数時間前に別個の協定案に合意したと発表した。これによりジブラルタルとスペイン間の国境の厳格な管理は回避された。
スペインのゴンザレス外相は、正式な条約締結までの暫定期間は6カ月の予定と説明。ジブラルタルにはEU域内の自由な行き来を認める「シェンゲン協定」が適用され、スペインがその責務を担うとしている。