農民と警官隊が衝突、農業改革巡り インド首都
ニューデリー(CNN) インドの首都ニューデリーで26日、数十万人の農民がトラクターで車列を作って行進を行った。これは、全国で広がっている、産物取引の自由化を促す「農業新法」に対する抗議デモの一環で、農家からは新法によって生活が危機的状況に陥るとの声が出ている。
警察がトラクターや徒歩の大勢のデモ参加者がバリケードを破ろうとするのを食い止めようとするなか、配信された映像には催涙ガスや閃光(せんこう)弾が使われたような場面も流れた。
多くの農民は2カ月以上にわたって首都周辺で抗議のために野宿している。トラクターはインドやさまざまな農民組合の旗で飾られている。そのほか、インド北部から訪れた若い農民もここ数日、憲法発布を祝う共和国記念日にあわせて行進を行うことを計画して州境に集まっていた。
共和国記念日には毎年、ニューデリーで大規模な軍事パレードが行われる。
新型コロナウイルスの影響で規模は縮小されたが、農民は政府のパレードにあわせて行進を行うことを計画していた。大規模な抗議はモディ首相にとって大きな課題となっている。全国で数カ月にわたってデモや座り込みが起きており、モディ首相にとっての主要な農業政策は農民側と政権との間の協議が行き詰まり、膠着(こうちゃく)状態に陥っている。
インドでは数十年にわたって政府が一部の農作物について保証価格を提示していた。これにより、長期的な確実性が提供され、理論上は農民が次の収穫のための投資が行えるようになる。昨年9月に通過した新法では、農民は誰にでも自由な価格で作物を販売することができるようになるため、買い手に直接販売したり別の州に販売したりするなど自由度が高まるとされる。
しかし、農民側からは新法によって、企業による農業従事者の搾取がしやすくなったり、企業の価格の引き下げにつながったりして、生活が悪化するとの主張が出ている。農民はまた、需要が存在すれば高い値段で作物を販売することができるが、市場への供給が過剰になった場合には数年にわたって最低価格に対応しなければならなくなる可能性がある。