バイデン氏のコロナ起源調査指示に中国反発、「米国起源説」持ち出す
香港(CNN) バイデン米大統領が情報機関向けに新型コロナウイルスの起源をめぐる調査の強化を指示したことに対し、中国政府が怒りをあらわにしている。事実を無視し、感染拡大を政治利用していると米国を非難したうえで、ウイルスが実際には米国起源であるとの見方にも改めて言及した。
米国では先ごろ、情報機関の報告書から中国の武漢ウイルス研究所の研究員数人が2019年11月に体調不良を訴え、入院を余儀なくされていたことが判明。新型コロナパンデミック(世界的大流行)の起源をめぐる議論に拍車がかかる中、バイデン氏が90日以内に自身への調査報告を行うよう指示を出していた。
中国外務省の趙立堅報道官は28日までにこの問題に触れ、「米国は事実や真実を全く意に介さず、ウイルスの起源についての真剣な科学的研究にも関心を示さない。念頭にあるのはパンデミックを利用して中国に汚名を着せることだけだ。政治的操作によって非難の矛先を変えようとしている」と述べた。
続けて趙氏は米メリーランド州にある陸軍の生物医学研究施設フォートデトリックに言及。中国の当局者や国営メディアはこれまで、証拠を挙げることなく同施設をウイルスの発生と関連付ける見解を示している。
「疑惑に包まれたフォートデトリックや、世界に200以上存在する米国の生物学研究所にどんな秘密が隠されているのか」「米国は世界に説明する義務がある」(趙氏)
フォートデトリックをめぐる言説は、昨年3月に中国国営メディアが報じ始めたが、今年初めに中国国内で大きな注目を集めるようになった。それは世界保健機関(WHO)が武漢を訪れ、新型コロナの発生源の調査を行った時期に重なる。
今年2月にWHOの調査が終了した際、中国外務省は米国も中国にならってWHOの専門家を招き、「発生源の追跡調査」を実施させるよう求めていた。