メキシコ大富豪、地下鉄落下の高架橋再建で費用全額を負担へ
(CNN) メキシコのロペスオブラドール大統領は30日、5月にメキシコ市で地下鉄高架橋が落下し26人が死亡した事故で、同国の大富豪カルロス・スリム氏が高架橋再建の費用全額を負担する意向だと明らかにした。
ロペスオブラドール氏は定例の記者会見で、スリム氏と会い、同氏の建設会社が地下鉄12号線の高架橋再建で全額を負担すると述べていたと明かした。「再建は必要なすべての安全措置を施して行われ、(メキシコの)国民の負担はなく、(政府の)予算を求めることもしない」と発言したという。
スリム氏は司法上の調査結果が出るのを待たずにメキシコ市長との調整に入り、同線を1年以内に再開させたい考え。
同氏のカルロス・スリム財団やメキシコ市当局はコメントを避けた。
地下鉄12号線は2012年10月に開通し、当時は同国史上最も費用が高額で野心的な公共工事の一つと喧伝(けんでん)された。
開通式には当時のメキシコ大統領やメキシコ市長のほか、自身の建設会社も関係しているスリム氏も参加した。
事故については、ノルウェー企業DNVによる外部調査や地元検察による捜査が行われている。高架橋落下の原因のほか、スリム氏を含む建設関係者も調査対象となっている。
初期調査の結果では、金属製スタッドの溶接が不十分で、コンクリート板やレールを支える鉄骨に十分つながっていなかったように見えるとの指摘があった。数ある事故原因の一つと見られている。
ほかにも、いくつかの部分で金属製スタッドがなかった点や、異なる種類のコンクリートの使用、未完成の溶接結合部分などが原因として指摘されている。