豪政府、入国制限を強化 帰国者受け入れもさらに停滞
(CNN) オーストラリア政府は新型コロナウイルス感染の水際対策として、週6000人あまりに制限していた海外からの入国者数を14日以降、さらに3000人程度まで削減した。
同国は厳しい国境封鎖措置で感染拡大を抑えてきたが、その影響で国外にいる国民の多くが帰国できず、長期にわたって家族や友人と離れ離れの生活を強いられている。今回の制限強化で、帰国希望を申告している約3万4000人が家族と再会できる日はさらに遠のくことになった。
3000人の枠は8月末に見直される予定だが、政府は制限が年末まで続く可能性を示唆している。
国境再開のカギとされる集団免疫を達成するにはワクチン接種を急ぐ必要があるにもかかわらず、調達は大幅に遅れている。同国で接種を完了した人は成人の9%と、経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進38カ国の最下位に位置している。
入国者の枠が絞られたことを受け、航空各社は同国へ向かう便の予約取り消しや減便を余儀なくされる見通しだ。政府は帰国チャーター便を増やす予定だが、搭乗できるのは希望者のごく一部にすぎない。
同国ではすでに、空港に到着する国際線の乗客数が1便当たり20人未満に制限されていた。航空各社は採算を取るため、ファーストクラスやビジネスクラスのチケットを優先的に扱うことになる。CNNが3月に取材した時点で、欧州各地からシドニーへのビジネスクラスは片道2万豪ドル(現在のレートで約164万円)を超えていた。制限強化でチケットはさらに高騰している。
政府が国民から帰国する権利を取り上げるのは国際条約違反ではないかとの指摘もある。国連人権委員会では、足止めされた国民からの訴えが審理されることになっている。