飼い主のフーさんによると、自身の検査結果は陰性だったといい、12日に隔離施設に入る前に何度も係員に確認して、建物の消毒作業に際して飼い犬を連れ去ったり殺したりはしないと説明されていたという。しかしその日の午後までに、感染防止対策の作業員が玄関ドアをこじ開けてフーさんの部屋に入り、犬を殴りつけた。
「犬は殴られるのをよけようとして寝室に逃げ込んだ。だから防犯カメラには映っていなかったけれど、かすかなうめき声が聞こえた。数分後、彼らは片付けたから持ち去ろうと言い、手に黄色いビニール袋を持っていた」。そう伝えたフーさんの投稿は、その後削除された。
「今もなお、私の犬が生きているのか死んでいるのかも、どこに連れ去られたのかも分からない」と言い添えている。
フーさんの住む集合住宅がある信州区は13日に発表した声明で、この地域の住宅を「徹底消毒」する必要があったとして、犬を殺したことを確認した。
そのうえで、作業員が飼い主と十分な連絡を取ることなく、犬を「安全に廃棄した」ことを認め、関与した作業員は職務から外したと説明。飼い主には謝罪して理解してもらえたとしている。
しかし飼い主はウェイボーへの投稿で、地元当局や勤務先から投稿を削除するよう圧力をかけられたと訴えている。
中国当局が厳格な新型コロナ対策の一環としてペットを殺したのは今回が初めてではない。昨年9月には北東部の黒竜江省ハルビン市で、陽性と判定された猫3匹が飼い主の同意なく殺された。飼い主は新型コロナに感染して病院に隔離されていた。
それでもペットに対して過酷な対応を取る自治体ばかりではない。今年1月には上海で住民が集中隔離施設にペットを同伴することが認められ、当局の対応に称賛の声が広がった。