香港当局が米紙に警告の書簡 選挙批判の社説めぐり
香港(CNN Business) 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは6日、同紙が掲載した香港立法会(議会)選挙に関する社説をめぐり、香港政府の高官から送られた書簡を公開した。書簡は社説が「根拠のない推測」にすぎないとして、対抗措置を取る可能性に言及している。
同紙は先月29日の社説で、今月19日投票の香港立法会選挙を「いんちき」と批判。市民が政治的な意見を表明するのに残された「最後の手段」として「棄権と白紙投票」を挙げた。
これに対し、香港政府の憲政本土事務省を率いるエリック・ツァン氏は書簡の中で、「選挙期間中に公の場で棄権や白紙投票をけしかけるのは違法行為だ」「われわれは必要な行動を取る権利を留保する」と述べている。
立法会選挙は昨年実施される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大への懸念を理由に1年延期された。
社説は延期が決まった背景について、「2019年11月の区議会選挙で市民が記録的な人数の民主派候補を選出し、中国に屈辱を与えた」ためとの見方を示していた。
ツァン氏は書簡でこれを否定し、「新型コロナによる公衆衛生上のリスク」が延期の理由だと改めて主張した。
同紙は社説で、香港市民が公に抗議すれば厳しい処罰を受ける恐れがあるとも指摘したが、ツァン氏は表現・報道の自由やデモの自由が法律に明記されていると反論。一方で選挙への妨害は容認できないとして、法律に違反した者に強制措置を取ることは国際慣行に沿った対応だと強調した。