香港不動産開発の華人置業、非公開化を計画 中国恒大株で損失
香港(CNN Business) 香港の不動産開発企業、華人置業集団は6日、同社の株式を非公開化する計画を明らかにした。華人置業株は中国の不動産大手、中国恒大集団の経営危機の影響で下落していた。
中国恒大集団が破たんの瀬戸際に立つなか、華人置業の株価は年初来44%下落し、ここ20年近くで最低の水準に落ち込んだ。華人置業は恒大の創業者である許家印氏に次ぎ、同社の第2位の株主となっている。
華人置業は6日遅くに証券取引所に提出した書類で、「取締役らは中国恒大集団が資金繰りに関して行った一部の情報開示を含め、同社の最近の動向を警戒し懸念している」と述べた。
華人置業は今回、同社株25%を保有する少数株主に19億1000万香港ドル(約270億円)を支払って非公開化することを提案。これは9月28日の終値に約83%上乗せした金額となる。華人置業株は28日を最後に取引停止となった。
華人置業は香港の富豪・劉鑾雄氏と妻の陳凱韻氏が支配する企業で、長年にわたり恒大集団と協力関係にある。恒大集団が香港に上場した2009年以降、何度も社債や株式の売り出しに応じ、同社を資金的に支えてきた。中国本土でも恒大と共同で不動産プロジェクトに取り組んでいる。
年次報告書によると、昨年末の時点で、恒大の社債や株は華人置業の総資産の3分の1以上を占めていた。債務危機の深刻化で恒大株が下落するなか、華人置業は投資で大きな損失を被る結果となった。
華人置業は先月23日、過去3週間で3200万ドル相当の恒大集団の株を売却したと発表。残りの株も手放す計画で、一連の処理による損失額は合計で104億香港ドル(約1500億円)に上ると予想している。
非公開化により、短期的な市場の期待で振り回されず、長期の戦略的な目標を見据えて動く柔軟性が会社に与えられる可能性がある。華人置業は取引が再開した香港市場で7日、株価が32%上昇した。
恒大の債務危機はこのところ世界の投資家を動揺させており、中国の経済や金融市場のより広い範囲に影響が及ぶ可能性に懸念が高まっている。今週には同業他社の花様年控股集団が債務不履行(デフォルト)に陥った。比較的小規模な企業は社債利回りの上昇に苦しみ、資金は枯渇し、不動産の買い手は慎重姿勢を強めている状況だ。