新型コロナ感染者が急増、モリソン首相はロックダウンを否定 豪
(CNN) オーストラリアで新型コロナウイルス感染者が急増するなか、モリソン首相は厳しいロックダウン(都市封鎖)措置の再導入に否定的な考えを示した。
モリソン氏は21日、クイーンズランド州での記者会見で「政府の締め付けはもうやめて、国民を大人として扱わなければ」「義務付けの文化から責任の文化に切り替える必要がある」と主張した。
同国最大のニューサウスウェールズ(NSW)州では、20日午後8時までの24時間に確認された新規感染者が3057人と、過去最多を記録した。入院患者は284人に上り、39人が集中治療室(ICU)に収容中。クリスマス休みの前に検査を受けるよう指示が出たため、検査センターの前には数千人の長い列ができている。
だがNSW州のペロテット首相は、20日付の豪紙デイリー・テレグラフに掲載された論説で「2019年の12月とは違う。ウイルスが最初に出現してから、何よりも大きく流れを変えたのはワクチンだ」と指摘。今後医療体制が脅かされれば方針を変えるが、「今は個人責任にバランスを戻す時だ」と述べた。
クイーンズランド州では保健当局が21日、感染者は2日ごとに倍増していると警告。新たな変異株、オミクロン株の感染者も増えているとしたうえで、隔離ルールの緩和は予定通りに進める方針を示した。
専門家からは、当局のこうした対応を批判する声も上がっている。オーストラリア医師会(AMA)のコーシド会長は、ペロテット氏の「無謀な」緩和策が住民の命を危険にさらしているとの声明を出した。
一部の専門家は、クリスマスに各家庭で一斉にオミクロン株が広がれば病院が対応できず、死者が続出すると警告している。