ドイツ首相、バイデン氏と足並み揃わず ロシアとのパイプライン閉鎖で

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ホワイトハウスで7日、共同記者会見を行うバイデン氏(右)とショルツ氏/BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images

ホワイトハウスで7日、共同記者会見を行うバイデン氏(右)とショルツ氏/BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images

(CNN) バイデン米大統領とドイツのショルツ首相が7日、米ホワイトハウスで会談し、ウクライナ情勢での共同戦線をアピールしながらも、ロシアから天然ガスを供給するパイプライン閉鎖を巡る行き詰まりを露呈した。

バイデン氏は会談後の共同記者会見で、ロシアがウクライナに侵攻したらパイプライン「ノルドストリーム2」のプロジェクトはとん挫すると明言した。米政権高官によれば、パイプラインの閉鎖はドイツ側との重要な協議事項になっている。

一方、ショルツ氏はプロジェクトの名称にすら言及せず、侵攻があった場合にパイプラインを閉鎖するとの約束を改めて避けた。

ショルツ氏はその後CNNの番組に出演し、米国と足並みをそろえると繰り返し誓う一方で、ノルドストリーム2に対する方針を明示しなかった。

ショルツ氏は「我々はすべての措置で団結する」「我々が今日ロシアに対して示す強い答えは、ウクライナに侵攻すればとても高い代償を払うということだ」と述べた。

ノルドストリーム2はウクライナ経由ではなくバルト海の海底を通るパイプライン。ドイツはロシアへのエネルギー依存度が高く、厳しい制裁措置を科しながら冬季に石油や天然ガスの閉鎖リスクを避けるのは難しい状況となっている。

ショルツ氏は記者会見で、ノルドストリーム2停止に向けた具体的な準備に触れず、対ロシア制裁で共同歩調をとると述べるにとどめた。バイデン氏もドイツの支援なしでパイプラインを止める方法について質問に答えず、「我々はそれができると約束する」とのみ答えた。

ドイツはウクライナへの殺傷能力のある武器の供給を避け、侵攻が起きた場合の具体的な制裁案を示す様子もない。ウクライナには数千個のヘルメットを供給するのみで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のエストニアがドイツ製榴弾(りゅうだん)砲をウクライナに輸送することも許可しなかった。米国など同盟国によるNATO東側境界の部隊強化にも参加していない。

ロシアに対する抑止策を示す上で、こうしたドイツの後ろ向きな姿勢は米当局者の一部にいらだちを募らせている。バイデン氏が先月、「小規模な侵攻」が起きた場合にNATO加盟国間で対応に意見の相違が起きる可能性に言及したのも、ドイツとの関係をほのめかしている。

一方、ある米政権高官はドイツの姿勢に対する懸念を鎮めたい姿勢を示し、NATO各国はそれぞれの持つ強みを交渉にもたらすと述べた。

米国は欧州に向けられるエネルギー供給の代替策を見つけようと急いでいる。アジアや中東、国内の供給者に当たっているが、実際に確保できたのかは不明。

一方でショルツ氏は、自党の首相経験者のロシアエネルギー産業との緊密なつながりにも直面している。シュレーダー元首相はノルドストリーム2の取締役会のメンバーで、先週にはロシアの国営ガス会社ガスプロムの役員にも指名された。

16年間政権を担ったメルケル前首相の不在も大きい。ロシアが2014年にウクライナに侵攻した際は、メルケル氏がプーチン氏と西側同盟国の間で中心的な役割を担った。だが、今回それを担うのはフランスのマクロン大統領だ。週に数回プーチン氏と会話し、バイデン氏とも6日夜にこの1週間で3回目となる電話会談を行った。7日にはモスクワを訪れ、今週後半にはウクライナの首都キエフに入る。

ショルツ氏に対しては、この緊張が高まる時期に対応が見えないと国内からも批判が上がっている。ショルツ氏は今月ロシアとウクライナを訪問する予定だが、そうした批判を振り払う狙いがあるものとみられる。

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