犬などペット20匹以上引き連れて徒歩で退避、キエフ近郊
(CNN) ロシアの軍事侵攻を受けたウクライナの首都キエフ近くのイルピン町に住む夫婦が地元での戦闘発生を受け、ペットの犬19匹、猫やハムスターを加え20匹以上を引き連れたキエフへの徒歩での逃避をこのほど果たした。
妻のアナスタシアさんはCNNの取材に、生まれてから終始、犬好きだったとし、退避を決めた時、犬を同行させることに迷いはなかったと話した。
道中を共にした犬には車いすを必要とする2匹に、後ろ足がないものの車イスに乗ることを嫌い、道中の一部でアナスタシアさんが腕に抱えたり、義足を着けて歩いてついてきた別の1匹も含まれた。
ほぼ全ての犬が大型で、体重はそれぞれ10キロ以上ある。
犬たちは最初、出会った住民らの大群衆におじけづき、方向を変えて、家へ帰ろうともしたという。ただ、絶え間ない砲撃音や爆発音には慣れたのか、最後にはおびえなくなっていた。
キエフへつながる橋でボランティアだった車の運転手と知り合い、ペットと一緒に安全な場所を送ってもらえる親切も受けた。アナスタシアさんはウクライナの領土防衛隊の隊員も非常に助けてくれたと感謝し、駆け寄ってきて高齢や体に障害がある犬、猫を運ぶかごやハムスターらを車の中へ収容してくれたと振り返った。
避難を続けるなかで犬4匹が迷子となり、途中で姿を消す混乱も起きたが、うち1匹は見つかり、領土防衛隊に飼われることになった。
アナスタシアさんと犬たちは現在、キエフ近くの猫の保護施設で暮らしている。犬たちはポーランドやチェコへ移される予定。
アナスタシアさんは「私は家を失ったし、所持品も何もない。ただ、犬たちは救われた」と安堵(あんど)した表情も見せた。