今週にはロシア海軍の最重要艦船の一つ「モスクワ」が黒海で沈没。ウクライナはミサイル攻撃の結果だとの見方を示すが、ロシアは弾薬の爆発で火災が発生したためだと主張している。
米国防総省当局者は15日、ウクライナのネプチューンミサイル2発がモスクワに命中したと指摘し、別の米当局者も、同艦への攻撃と沈没はウクライナのミサイルによるものだとの見解を示した。ただ、ゼレンスキー氏はウクライナが関与したか明言しなかった。
「同艦がもう存在しないことは分かっている。同艦は我が国を脅かす強力な兵器であり、沈没は我々にとって悲劇ではない」「ロシアが我が国の攻撃に使う兵器が少ないほど、我々にとって状況が良くなり、彼らの能力は低下する。これが重要な点だ」
ゼレンスキー氏はウクライナ当局者の見方として、今回の戦争で約2500~3000人のウクライナ兵が死亡したのに対し、ロシア兵の死者数は1万9000~2万人に上ると指摘した(ロシアが認める軍の死者数は1351人)。ウクライナ兵の負傷者数は約1万人に上っており、「何人が生き残れるかは分からない」とも述べた。
民間人の死傷者数については数値化がより難しいという。
「民間人について話すのは非常に難しい。南部ではヘルソンやベルジャンスク、さらに東のマリウポリ、ボルノバーハ東郊の地域といった町や都市が封鎖されているからだ。封鎖中の地域で何人亡くなったのかは分からない」
今週には女性が井戸に沈んだ息子の遺体を見つける場面など、ウクライナでの死と惨状を示す悲惨な映像が相次ぎ公開された。これについて聞かれると、ゼレンスキー氏は「大変痛ましい」と心情を吐露した。
「父親として見ていられない。これを見た後には報復して殺したいという思いしか湧かないからだ」としつつも、「この国の大統領として私は見なくてはならない。多くの人が命を落としたり愛する人を失ったりした国、そして生きていたいと願う人が何百万人もいる国の大統領として」と語った。
さらに「我々は全員、戦うことを望んでいる」としたうえで、「だが、終わりのない戦争にならないよう最善を尽くす必要がある。戦争が長引くほど失うものも増える。すべての喪失はあのようにつらいものになる」と語った。