「私たちは最後の世代」 過酷なコロナ対策が拍車をかける中国の人口危機
中国の若い世代は仕事上のプレッシャー、不動産価格の急騰、教育費の上昇、子どもを持つ女性に対する職場での差別などに直面し、結婚や出産を拒否したり遅らせたりする人が増えている。
昨年結婚を届け出た夫婦は760万組と、2013年に比べて44%減となり、36年ぶりの少なさだった。同時に出生率は1000人当たり7.5人に減り、中華人民共和国建国以来最低となった。9省区では人口が減少に転じた。
事態を憂慮した中国政府は16年に一人っ子政策を廃止し、昨年からは子どもを3人まで持つことが許可された。自治体はさまざまな宣伝を展開し、相次ぎ出産奨励策を打ち出したが、出生率は低下し続けている。
長引くコロナ禍の中で、若い世代の失望感は一層深まっている。
特に厳格なロックダウンが続く上海では、食料や医薬品不足、強制隔離に対する住民の不満が噴出。自宅の窓の前でやかんやフライパンをたたいたり、大声で叫んだりして抗議の声を上げる住民もいる。住民が路上で警官や保健職員と衝突する異例の光景も展開されている。
ここ1週間は、隔離された住民が自宅の鍵を地元当局に引き渡すことを強要されるようになった。職員は家の中に立ち入ってその人の私物を消毒液漬けにすることができる。その行為を正当化できる科学的根拠はほとんどない。
多くの住民にとって、我慢の限界だった。「こんなことになる中で子どもを持ちたいと誰が思うのか」「あなたの家系は私で終わる。あなたが引き起こした苦しみも私で終わる」。ウェイボーにはそんな投稿が続いた。
問題の動画は12日夕までにほとんどが、中国のインターネットからかき消された。ウェイボーでは「私たちは最後の世代」「最後の世代」などのハッシュタグが検閲の対象になった。