「私たちは最後の世代」 過酷なコロナ対策が拍車をかける中国の人口危機
香港(CNN) 中国では何世代にもわたり、子どもを成功させることが親にとって人生で最大級の目標だった。そのためであればどんな犠牲もいとわなかった。
6週間目に入った上海のロックダウン(都市封鎖)。自宅から政府の隔離施設に連行されることを拒んだ一家に対して警官が言い放った言葉は、子どもの未来にかかわる強烈な脅しとして、相手を屈服させる威力をもつはずだった。
「市の命令に従わなければ罰せられる。その罰は、3世代にわたってあなた方の一家に影響を及ぼす」。そう言って防護服姿でカメラを指さした警官の映像が、中国のSNSに投稿された。
この警官に対して若い男性(映像には映っていない)は「僕たちは最後の世代だから。どうも」と応じた。暗に子どもをもつ予定はないと告げている様子だった。
映像はそこで終わっていた。この一家が隔離施設に入所したのかどうかは分かっていない。だがこの映像は中国のインターネットで瞬く間に拡散し、子どもを作れという圧力にうんざりしていた若者の間で共感を呼んだ。
「最初は笑ったけれど、最後は大きな悲しみを感じた。彼は自分の生殖権を放棄することで抵抗していた」。中国大手SNSの微博(ウェイボー)にはそんなコメントが書き込まれている。
現地の人権弁護士は今回の映像を「最も深い絶望の表れ」と評し、「我々は、楽しみにする価値がある未来を奪われてきた。これは間違いなく、若い男性が自らの生きる時代に対して上げた最も強い非難の言葉だ」とツイートした。