中国、「不要不急」の渡航規制を強化 ロックダウンへの怒り渦巻く中
香港(CNN) 中国政府は事実上の海外渡航禁止を打ち出し、市民が「不要不急の」理由で国外に出かけるのを禁じている。背景には新型コロナウイルスを徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策の強化がある。
中国国家移民局は12日の声明で、パスポートなどの渡航文書を発行する際の審査プロセスの引き締めを強化し、出国を厳しく制限すると発表した。
同局は「国外で感染し、ウイルスを国内に持ち込むリスクを低減する」ためにこうした措置が必要だと主張。渡航は「必要不可欠な」目的の場合のみに許可されるとした。仕事や学業、科学調査、医療を受けることなどがこれに該当するという。
一方でパンデミック(世界的大流行)への対応や災害救援物資の輸送を支援するため渡航しなくてはならない人々からの申請については、処理を迅速化するとした。
新たな規制をどのように執行するのか、また有効な渡航文書を持った旅行者の出国をどうやって止めるのかについては明言しなかった。
中国でこれほど厳しい出国規制が導入されるのは数十年ぶり。国民はすでに2年以上にわたって過酷な新型コロナ抑制策の実施を強いられている。そこにはロックダウン(都市封鎖)や大規模検査、強制隔離などの厳しい措置が含まれる。
渡航規制に関する報道を受け、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」には「必要でない限り外出するな。必要でない限り出国するな。必要でない限り生まれてくるな」というコメントが投稿され、人気を集めた。
他のユーザーらの間では当局が渡航を禁じる理由について、政府による新たなロックダウンへの恐れから国外脱出を図る人が増えているためではないかという臆測も飛び交った。とりわけ首都北京では、感染者数の増加を受けてそうした懸念が高まっているとみられる。
「中国から脱出したがる人が恐れているのは、国民の権利や尊厳が(感染拡大の中で)絶対的な権力を前にして何の意味も持たなくなっているという点だ」と、あるウェイボーのコメントは訴える。
このほか19世紀後半から20世紀初めにかけて世界からの孤立を深めた清王朝に言及し、当時の鎖国政策に戻るのかと問いかける投稿もあった。