WHO事務局長、中国のゼロコロナ政策を批判して検閲対象に
(CNN) 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は10日の記者会見で、新型コロナウイルスを徹底して抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策は継続が困難との見解を示し、中国のSNSで検閲対象となっている。
テドロス氏は会見で、新型コロナのオミクロン株は従来株より感染力が強いことを指摘し、「ウイルスの現在の動きや今後の見通しを考えると、ゼロコロナ政策が継続可能とは思えない」と発言。中国の専門家にもそう伝えたことを明かし、方針転換が重要との考えを示した。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席は先週、ゼロコロナ政策の堅持を改めて表明したばかり。テドロス氏は感染拡大の初期に「中国寄り」との批判を受けたこともあるが、10日の発言では習氏に真っ向から反対する形となった。
10日早朝、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の国連広報アカウントにこの発言が投稿されると、ユーザーから批判的なコメントが集中した。投稿は同日午前のうちに、「投稿者のプライバシー設定」を理由に非表示となった。
ウェイボーではさらに、テドロス氏の名前のハッシュタグや顔の写った画像が削除された。
中国発の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の国連アカウントでも同日午前、この発言を伝える投稿が「関連法と規則に違反する」としてシェアを禁止された。テドロス氏が話す場面の動画も削除された。
中国では高齢者のワクチン接種が遅れ、治療薬も普及していないことなどから、当局はゼロコロナ政策を緩和すれば大規模な感染拡大を招き、多数の死者や重症者が出ると主張している。