ANALYSIS

侵攻から100日、プーチン氏が頼みにする世界の無関心

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ハルキウ州を訪れたウクライナのゼレンスキー大統領=5月29日撮影/The Presidential Office of Ukraine/picture-alliance/dpa/AP

ハルキウ州を訪れたウクライナのゼレンスキー大統領=5月29日撮影/The Presidential Office of Ukraine/picture-alliance/dpa/AP

これはウクライナ政府にとって歓迎すべきニュースだが、ロシアが東部での攻撃を展開する中、国際メディアによるウクライナ報道は多少トップの扱いから後退しているのが実情だ。そしてプーチン氏はその傾向に期待している可能性がある。おそらく念頭にあるのはエネルギーの価格高騰と消費者物価の上昇だろう。どちらの動きもウクライナでの戦争で拍車がかかっており、米国と他の国々の世論はこの問題に集中する公算が非常に大きい(ひいては選挙の結果をも左右するだろう)。

プーチン氏はまた、外交問題に対する関心がすぐに薄れることも計算に入れているかもしれない。2015年、立て続けに敗北を喫していたシリアのアサド政権への支援を強化したのは他ならぬプーチン氏その人だった。シリアでの戦争は12年目に突入し、今なお続いているが、すでに世界の注目はウクライナへと移っている。

その点で、ゼレンスキー氏はウクライナが情報戦を戦う上での最大の武器の一つになっている。同氏はオンラインで世界中の議会に立て続けに姿を現し、各国の指導者にメッセージを送る。プーチン氏をなだめようとウクライナに向かって領土を割譲するよう求めかねない指導者に対しても、結果的にどうなるかを決めるのは自分ではなくウクライナ国民でなくてはならないと釘をさす。

しかし国内のあらゆる政敵を破滅に追い込み、メディアを効率よく支配するプーチン氏は、ゼレンスキー氏と同じような国内における圧力には直面していない。ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は最近の発言で、ロシア軍はウクライナで「期限を求めていない」と言及。プーチン氏がはるかに制約の少ないスケジュールでウクライナにおける自身の戦争を遂行していることを示唆した。反対にウクライナ軍は、国際社会が戦争に疲れた状態に陥ることを危惧する。それに伴って各国から自国の政府に対し、プーチン氏への譲歩を迫る圧力がかかるのではないかとの懸念を抱いている。

「そっちには時計があるが、こっちには時間がある」。捕らえられたタリバンの戦闘員が発したともされるこの言葉は、アフガン戦争を戦う米国のジレンマを端的に言い表すものだった。そこで嫌々ながら認めているのは、反乱が異なる政治的地平とスケジュールで遂行されていたという点だ。反乱する側の戦闘員らは、技術的に優位な米軍を打ち負かす必要はなく、ただ持ちこたえていればよかった。

このフレーズを流用する場合、ウクライナで決定的な要因となりそうなのは、時間があるのは果たしてどちらかということだろう。死ぬまで権力を握ったままでいそうなロシアの独裁者なのか、それとも国家の生存をかけて戦うウクライナの国民なのか。

本稿はCNNのネーサン・ホッジ記者の分析記事です。

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