ロシアで公判中の米女子プロバスケ選手、薬物関連罪で有罪答弁
(CNN) 米女子プロバスケットボール(WNBA)の選手で2度の五輪金メダルを獲得したブリトニー・グライナー選手(31)がモスクワ近郊の裁判所で薬物関連の罪で有罪答弁をしたことがわかった。グライナー選手の弁護士が7日、CNNに確認した。
本罪での最高刑は禁錮10年となる。米国務省はグライナー選手の拘束を不当と見ている。選手の支援者はロシアのウクライナ侵攻が起きる中で政治的人質に利用されたとの懸念から釈放を求めていた。
グライナー選手の弁護士は、裁判所が有罪答弁を斟酌(しんしゃく)すると予想し、刑の減免に期待を示している。
弁護士によると、グライナー選手から採取された検体には薬物の痕跡はなかった。
弁護団は声明で、有罪答弁を決めたのはグライナー選手自身で、「勇敢な例を示すものだ」「自分の行為の完全な責任を負うと決めた。自分が多くの人々の模範であることを自覚している」と述べた。
また、事件の性質や薬物が少量だったこと、世界やロシアのスポーツへの貢献などを踏まえれば「答弁が軽減要因として斟酌され、厳罰は下らないと期待する」と述べた。
弁護士によると裁判は8月初旬に終了する見込み。グライナー選手は7日、報道陣にコメントせずに裁判所を後にした。次回公判は14日。
グライナー選手は今年2月、モスクワの空港で荷物から大麻オイルが発見されたとして逮捕された。薬物密輸の容疑で勾留が続き、先週から裁判が始まっていた。グライナー選手はWNBAのオフシーズンにロシアでプレーしている。
ロシア国営RIAノーボスチ通信によると、グライナー選手は7日の公判で、犯罪を犯す意図はなく、薬物を荷物に入れようとは思っていなかったが、急いで荷造りをした結果だったと述べていた。
情報筋によると、有罪答弁を決めたのはグライナー選手自身だが、この数週間は家族や弁護士、専門家との間でこの点が議論されていた。ロシアでの刑事裁判の有罪率が99%であることや、答弁で量刑が短くなる可能性など、すべての要因を踏まえるようにグライナー選手は促されていた。
囚人交換を通じたグライナー選手の帰国が可能との見方も出ていた。ただその場合でも、囚人交換の前に罪を認め、有罪判決を受ける必要があると米高官はCNNに語った。
国営タス通信によると、検察側はグライナー選手が1グラム未満の大麻オイルを荷物に入れて密輸をしたと主張していた。
2回目の公判となった7日の審問では、米外交官がグライナー選手にバイデン大統領からの返書を手渡す場面があった。グライナー選手は独立記念日にあわせた書簡で、バイデン氏に助けを求めていた。弁護士によると、グライナー選手はバイデン氏の書簡に感謝していたという。
米ホワイトハウスは6日、バイデン氏とハリス副大統領がグライナーさんの妻シェレル・グライナーさんに電話で連絡したと発表。シェレルさんは電話に感謝の意を示していた。