ナイジェリア、旧紙幣を再発行へ 紙幣刷新の失敗で総選挙に混乱か
ナイジェリア・アブジャ(CNN) ナイジェリアのブハリ大統領は16日、同国の中央銀行に数日前に廃止された旧200ナイラ紙幣を再発行するよう指示した。新紙幣導入のつまずきが今月行われる総選挙に混乱を招くのではないかとの懸念が高まっている。
数百万人の市民が200ナイラ、500ナイラ、1000ナイラの各新紙幣の入手に苦労する状況となり、この数週間、暴力的な抗議デモが発生していた。旧紙幣は2月10日に失効したが、同国の最高裁判所はその2日前に紙幣交換の計画を一時停止するように命じていた。
地元紙の報道によれば、ナイジェリア独立国家選挙委員会は、銀行が十分な新紙幣を供給できなければ、今月25日の大統領選及び議会選の数千に及ぶ投票所で臨時スタッフや警備員に報酬を支払うのが難しくなると警告した。
ブハリ氏は昨年11月にデザインを刷新した紙幣を発表。偽造や銀行システムの外で蓄えられている巨額の現金を抑制するのが狙いだった。
だが、多くの国民が新紙幣の入手に何時間も列に並ぶ状況が発生し、紙幣不足は特に現金決済の非公式経済で生計を立てる人々や、農村地域で暮らす人々を困らせた。抗議運動は全土に広がり、銀行の支店が壊される被害にあった。
ブハリ氏は16日のテレビ放送で、国民が直面する困難に同情を示し、旧200ナイラ紙幣の流通を60日間認めると発表した。それより大きな単位の紙幣は失効したままだが、中央銀行や指定した地点で交換可能だという。
ブハリ氏はまた、紙幣の供給は数日で改善するとの見通しを示し、中央銀行に「新紙幣が各銀行を通じて市民にさらに入手しやすいものとなるよう」対応するように指示した。
中央銀行は先月、昨年10月時点で流通する紙幣3兆2300億ナイラ(約9500億円)のうち、銀行が保有するのは5000億ナイラのみだと発表。2兆7000億ナイルは長年、国民の自宅に保管されていると指摘した。
ブハリ氏は16日の演説で、新紙幣を発表した昨年11月以降、そうしたお金の約8割にあたる2兆1000億ナイラほどが銀行に戻ってきたと明らかにした。