ハンガリー、プーチン氏入国でも逮捕せず 首相府長官が表明
(CNN) ハンガリーのグヤーシュ首相府長官は23日、ウクライナの子どもを違法に移送した容疑で国際刑事裁判所(ICC)が先週逮捕状を出したロシアのプーチン大統領について、ハンガリーに入国しても逮捕しないとの方針を示した。
ハンガリーはICCの設立条約「ローマ規程」の署名国で、2001年に批准しているが、グヤーシュ氏はプーチン氏の逮捕には国内法上の根拠がないとしている。
グヤーシュ氏は「我々が参照するハンガリー法に基づけば、我々はロシアの大統領を逮捕できない。ハンガリーではICC関連の制定法が公布されていないからだ」と説明。ハンガリー政府は現時点でプーチン氏の逮捕状に関する立場を決めていないとも述べた。
同氏の発言は、ハンガリーに隣接する欧州諸国にとってはそれほど意外でないかもしれない。
ハンガリーのオルバン首相とその政府は欧州連合(EU)内で最もロシアに近い。プーチン氏が昨年ウクライナ侵攻を軍に命じた後、オルバン氏はEU首脳の中で最も対ロシア制裁に消極的な姿勢を示した。
ハンガリーは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国でもあり、欧米諸国によるウクライナへの兵器供与に反対を唱えている。オルバン氏は欧州がウクライナでの戦争になし崩し的に関与していると警告し、ウクライナのNATO加盟阻止を図ってきた。スウェーデンのNATO加盟についても消極姿勢を示している。
ICCに加盟する123カ国は逮捕状に従う義務があり、プーチン氏がこれらの国の領域に入った場合、国の法執行当局が逮捕する必要がある。ただグヤーシュ氏は今回、ローマ規程はハンガリーの法制度に組み込まれていないため、適用されないと主張した。
ロシアはICCの決定に服しない立場を示し、逮捕状は「受け入れられない」と一蹴している。