難民や移民1200人乗船の2隻が遭難、イタリア沿岸警備隊が誘導
(CNN) イタリア沿岸警備隊は11日、地中海で難民や移民1200人を乗せたボート2隻を曳航(えいこう)していることを明らかにした。地中海を経由して欧州を目指す難民や移民はこの1年で急増している。
移民船の救援にあたる国際NGO「アラームフォン」は、400人が乗船したまま燃料が尽きた船の救助を急いでいると説明した。沿岸警備隊も10日、800人を乗せた別の船を曳航しているとCNNに語った。
沿岸警備隊のツイッターによると、それぞれ難民や移民400人と800人を乗せた2隻は、10日に海上でしけに見舞われて航行困難になった。
アラームフォンはこれに先立つツイートで、現地時間の午前10時56分、ボートの乗船者と話をしたと伝えた。ボートは浸水を始めているといい、「救急患者が数人いて、船は水でいっぱいになり、燃料は残っていない」との報告を受けて当局に通報したとしている。
沿岸警備隊は船舶をボートに横付けしてイタリアへ向かっている。地中海中部で捜索救助活動を行っているドイツのNGO「シーウォッチ・インターナショナル」によると、悪天候の中で乗船者の救助を試みるより、誘導した方が安全だと判断したという。
移民船は、NGOが危険性を指摘しているイタリアとマルタを結ぶ移民ルートで航行不能になった。
400人を乗せたボートはリビア東部トブルクを出航。アラームフォンによれば、船体は浸水して沈没の危険があり、子どもや妊婦、障害者など医療措置が必要な乗船者も多いという。
イタリア沿岸警備隊は10日、シチリアのランペドゥーザ島に過去48時間で1700人以上の移民が到着したことを明らかにした。ランペドゥーザはアフリカ大陸に最も近いイタリアの島で、欧州連合(EU)諸国を目指す移民の一大目的地となっている。
戦争や迫害、貧困リスクを逃れた難民や移民は、安全を求め、困窮状態から抜け出そうと、毎年何万人もが危険を冒して航海に出る。多くの場合、ボートは定員オーバー状態でそうした航海には適していない。乗船者の救助が必要になり、どこの国が受け入れるかで国家間の争いが起きることもある。
イタリア内務省によると、今年に入ってこれまでに同国に到着した難民や移民は2万8000人を超え、ここ数年に比べて急増した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、イタリアに今年到着した難民や移民は2017年以来、最も多くなっている。
到着した人はコートジボワール、ギニア、バングラデシュ、チュニジア、パキスタンの出身者が大半を占める。