ヒジャブ不着用の女性に長期刑、AIで監視徹底 イラン政府が厳罰化の法案提出へ
(CNN) イラン政府が女性の頭部を覆うヒジャブの着用を厳格に取り締まる新法の制定を検討している。道徳警察に拘束された女性の死を発端とする大規模な抗議デモから間もなく1年。専門家は、前例のない過酷な懲罰が法制化されることになると指摘している。
70条からなる法案には、ヒジャブ着用を拒んだ女性に対する刑期の大幅な長期化、規則に逆らった有名人や企業に対する厳罰、服装規定違反の女性を見つけることを目的とした人工知能(AI)の利用などが盛り込まれている。
法案は今年に入って司法当局が政府に提出し、その後議会の法務司法委員会が承認した。政府系のメヘル通信の1日の報道によると、6日に理事会に提出された後、国会本会議で文言の調整を行って、2カ月以内に採決が行われる見通し。
イランでは昨年9月、クルド系イラン人女性のマフサ・アミニさん(当時22)が道徳警察に拘束され、「再教育センター」に連行された後に死亡した。アミニさんがイランの保守的な服装規定に従わなかったことが理由だったとされる。
法案ではヒジャブ不着用の罪を厳罰化し、禁錮5~10年、罰金3億6000万イランリアル(約120万円)以下とした。イラン人人権弁護士によると、これは平均的なイラン国民にとって到底支払える額ではないという。
別の条項では、新法の執行のために「固定・移動カメラなどのツールを使って違法行為の犯人を特定するAIシステムの開発と増強」を警察に求めている。国営メディアは先に、ヒジャブ法に違反した女性を見つけ出すため、公共の場にそうしたカメラが設置されると伝えていた。
ヒジャブ着用を徹底させない企業経営者に対する罰金も増額され、事業利益3カ月分に相当する罰金を科される可能性がある。