多くを困惑させる南アフリカの対ロ姿勢、答えは砂漠の鉱山か
南アフリカ・ヨハネスブルク(CNN) ロシアのウクライナ侵攻に対する南アフリカの姿勢に、多くの人々が首をかしげている。
南アフリカは「非同盟」主義を公言しているものの、西側諸国の外交筋や政治専門家は一連の行動を挙げ、非同盟とは正反対だと主張している。
そうした数々の行動には、ロシアを非難する国連決議案採択の棄権、ロシア海軍との実戦演習、公の場での再三にわたる米国非難などがある。さらに制裁対象のロシア貨物船に武器や弾薬を積んだ疑いも持たれている。
先月末サンクトペテルブルクで行われたロシア・アフリカ首脳会議には、多くのアフリカ諸国が欠席する中で、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は主要閣僚らとともに出席した。
政権を握るアフリカ民族会議(ANC)には、旧ソビエト連邦との歴史的なつながりがある。だがそうしたイデオロギーを通じた関係の名残が一定の水準を超えて続くことは通常ない。
多くの場合、金がものをいう。米国や欧州連合(EU)との貿易や支援の規模は、どちらかというとお粗末なロシアからの支援をはるかにしのぐ。
ではなぜ、南アフリカは西側との重要な関係を危険にさらしているのか? 非営利団体「アマブンガーニ調査報道センター」の調査員や汚職反対活動家は、その答えをもとめて一風変わった場所に目を向けている。カラハリ砂漠だ。
利益を生む関係性
辺り一面ほぼ何もない遠く離れた場所、低木の茂み越しにそびえる巨大な土の壁。鉄や鋼鉄の製造に欠かせない金属、マンガンの広大な鉱山の一角だ。
この一角も含め、「カラハリ・マンガン連合(UMK)」が所有する鉱山は高収益をあげている。会社はロシアの新興財閥(オリガルヒ)で制裁対象にもなっているビクトル・ベクセリベルク氏と財務上深いつながりがある。同氏はウラジーミル・プーチン大統領の重要な協力者だ。
別の大手採掘業者「チャンセラーハウスホールディングス(CHH)」は、ANCと癒着している。同社は長年にわたって党との関係を隠してきたが、地元紙メール&ガーディアンなどメディアの徹底した調査報道を受け、2021年に関係を認めた。その年から、多額の公的献金を受け取った政党は情報公開が義務化された。
ANCでマネージングディレクターを務めるモゴポディ・モコエナ氏はCNNに声明を宛て、チャンセラーハウスはANCの資金源ではなく、「長らく不利な立場に置かれてきた南アフリカの個人または団体を支援する」ことを目的に設立された組織だと述べた。
モコエナ氏はUMK鉱山グループの取締役会長でもある。
近年、与党ANCは財政難に見舞われる不名誉な事態に陥っている。一時はヨハネスブルク中心地のランドマーク的な本部で働く職員に、給料を払うのもままならない状況だった。
開示されている記録によると、ここ数年UMKはANCの献金者リストの中でもずば抜けて突出している。21年以降、チャンセラーハウスからの献金と合算した額は290万ドル(約4億1540万円)を下らない。
UMKはCNNに宛てた声明の中で、献金はまっとうなものだと述べた。
「米国を含む世界の民主主義諸国と同様、南アフリカの法制度も個人や民間組織によるクリーンな政治献金を認めている。UMKの献金はどの点においても国内法を順守守している」(UMKの声明から)