タイ国会、次期首相にセター氏選出 3カ月の政治的膠着状態に終止符
(CNN) タイ国会は22日、首相指名選挙を行い、不動産王のセター・タウィシン氏(60)を次期首相に選出した。3カ月に及ぶ政治の膠着(こうちゃく)状態に終止符が打たれた。
タイ貢献党が擁立したセター氏は、上下両院で獲得可能な747票中482票を獲得した。同氏が選出されたこの日、タイ貢献党の創始者で争いの種になる人物でもあるタクシン元首相が15年を超える亡命生活を経て帰国していた。
セター氏は全土のタイ国民の生活を向上させると約束した。正式に首相に就任するには、まだタイ国王の承認が必要となる。
政治経験を持たないセター氏は2022年にタイ貢献党に加入。5月の総選挙では党が擁立した3人の首相候補に名を連ねた。
総選挙は大胆な変革を掲げる野党・前進党がここ数年のタイ政治への怒りを追い風に勝利したものの、政界の支配勢力の動きにより組閣の取り組みを阻まれていた。
タイ貢献党は総選挙で2位だったが、首相指名選挙では必要な票を確保すべく、ライバルの親軍派と取り決めを結んだ。これにより同派と協力しないとした当初の公約は撤回された。今後は新たな連立の下、親軍政党にも閣僚のポストが与えられるとみられる。
こうした動きは総選挙で進歩的な政党に投票した多くの有権者の意志にそぐわないものであり、軍の後ろ盾を受ける国の既得権益層に対して強い非難の声を引き起こしている。14年のクーデター以降、タイはこうした層の統治下に置かれてきた。
国立開発行政研究院が実施した調査によると、回答者1310人の約64%がタイ貢献党による親軍派との連立に同意しない、もしくは全く同意しないと答えた。ロイター通信が報じた。